ほとんど使わないモノは奥もしくは手の届きにくい場所に、片付けるのが原則ですが、それらのモノは、本当に「収納」したと言えるでしょうか?間違って「死蔵」になっていませんか?
「収納」と「死蔵」の違いは、「使う可能性がある」か、「使う可能性が無い」かの違いですが、これは分かりやすい判断基準のように思えて、実は全く判断できない基準です。と言うのも、使う可能性の全く無いモノは、ほとんど存在しないからです(例えば新聞紙や牛乳パック、お弁当の空き容器など)。
モノを奥にやる行為は、すなわちモノを「死に体」に近づけることです。分別作業をキッチリして、使用頻度は少ないけど、必ず必要なモノだけを置くようにしましょう。「収納」と「死蔵」の違いは、正しく言うと、分別作業がされているかされていないか(=自分で把握できているか否か)、です。
収納格言(31~40)
なぜ片付かないか、片づけるとどんないいことがあるかが分かる収納格言。
「収納のコツ」の何たるかが会得できるかもしれません。
第三十二条 「収納とはモノのリストラ」
リストラ=正しくはりストラクチャーですが、再構築という意味です。決して首切りのことではありません。ですから、収納とは「モノの再構築」ということです。
ここで注意してもらいたいのは、収納の基本は収納スペースや家具の再構築ということではない、ということです。あくまでモノをどうこうするということです。再構築の基本はまず今ある状態をいったん崩すこと、そして不必要なモノを排除し、必要なモノを新たに取り入れて理想的な形にすることです。ですから、いま収納スペースに収まっているモノを全て出し、不用品は捨て、必要ならば収納グッズを使うということです。
第三十三条 「とりあえず置きは要らない」
よく収納の雑誌なんかで紹介されている「とりあえず置き場」ですが、収納マンとしてはオススメできません。もちろん、有効に活用されている方もいらっしゃいますが、片付けが苦手な方は止めておいたほうが良い、ということです。その理由は、とりあえず置き場が、知らず知らずのうちに雪崩を起こした挙句、そこが何のスペースだったかさえ分からなくなってしまっている方が多いからです。
外出して帰ってきたときに、腕時計や携帯電話、鍵などを置くような「とりあえず置き場」は良いのですが、ほとんどの場合、書類やDMを置くことが多く、時間が取れない人は、これらをとりあえず置きしても、整理できない、もしくは整理しようと思わないからです。
ですから、こういった書類やDMなどは、テーブルの上とか目立つところ、置いておくと邪魔になるところに置くようにし、気が付いたら片付ける習慣を身に付けることをオススメします。
第三十四条 「ズボラな人は収納の素質あり」
「自分はズボラだから片付けが苦手!」と思っている方、実は、そんな人ほど片付けに向いている人はいないんです。・・・なぜか?それは、片付けのコツと、そのズボラな性格が、ベストマッチだからです。
いいですか?ズボラな人というのは、何を持ってズボラと認められるかと言うと、まず、面倒くさがり屋だということ、そのため、常に楽をしたい、細かいことに惑わされたくない、と思っているはずです。対して、収納の目的とは、楽をすることで、しかも収納のコツは、完璧を求めないことなんです(その点については、収納格言第八条・第十八条をチェック!)。
片付けるのが面倒なら、一時だけちょっと気合を入れて、片付けやすく、取り出しやすい収納方法を考えればいい、しかも片付けが面倒なくらい忙しいのだから、家にあるものを有効利用して、ササッと片付ければいい、それだけで収納上手になれるんです。騙されたと思って、カンタン収納ランドで収納の何たるかを身に付ければ、まず間違いなく、新年はスッキリとした気分で迎えられるはずですよ。
第三十五条 「収納の基本は段取り八分」
片付けが苦手な方の多くが、「収納=(収納グッズを使って)モノを片付けること」と思っているようですが、これは間違いです。たとえ、収納グッズを使わなくても、まずモノに手を付けるのは、収納の基本が出来ていないと言えます。何事も「段取り八分」と言いますが、収納に関しても同じで、段取り=頭の収納=理想形をイメージすることが重要です。また、モノに対しての認識を改めることも頭の収納の内に入ります。
もちろん、考えながら作業を進めても良いですが、基本的なことは作業にかかる前に考えておかなければ、非常に非効率です。収納のプロですら、頭の収納=理想形のイメージはモノに手を付ける前に終わらせてしまいます。
ですから、段取りを組む段階から収納は始まっていますし、それさえ出来ていればあとはその段取りに従って体を動かせば良いだけなんです。
第三十六条 「収納は時間が掛かる!?」
片付けが出来ない理由として最も多いのが「時間が無い」というのが多いのですが、厳しいことを言いますが、これは単なる言い訳に過ぎません。時間は自分で作るもの、とまでは言いませんが、収納の基本が出来ていれば、時間はほとんど必要ないからです。
実際、収納マン自身、「収納のプロだから、いつもキレイに片付けているんでしょうね」なんて言われることが多いのですが、毎日時間に追われているので、そんなにキッチリ片付けていません。片付けをするのは、週に1回あるかないかという程度。事務所も自宅も同様です。
片付けをしないと作業が非効率になることは分かっていますから、週1回程度片付けるわけですが、収納する場所が決まっていて、捨てる捨てないなどの判断基準を自分なりに決めているから、ごく短時間で片付けられるわけです。対して、基本が出来てないと、片付けをしながら、いちいち要るか要らないか判断し、収納場所をどうするか考えなければならなくなり、結果、時間が必要になるのです。
「片付ける時間が無い」と思っているのは、「片付けは時間が掛かる」と思っているということ。すなわち、収納の基本が出来ていないということです。
第三十七条 「収納はいつでも出来る」
前回、収納には時間が掛からないということを説明しましたが、今回も似たような話ですが、ちょっと違います。片付け作業は一度にやろうと思うとたくさんの時間が必要ですが、引出一杯など小さい範囲で区切ると、少しずつですが片付いていくはずです。これを毎日繰り返すとどうなるか?「時間がない」と思っている人でも片付けられるはずです。
また、前回も少し触れましたが、収納で大事なのは、モノに手を付けることよりも、頭の収納です。いったんモノに手を付けるとそれなりに時間が必要になってきますが、頭で考えるだけなら1分でも時間があれば出来ます。「片付けないといけないな~。」と漠然と思っているだけでは、いざ時間が出来ても「何をどうしてよいものか・・・?」と途方に暮れて結局手が進まなくなってしまいがちですが、普段からどう片付けるかをイメージしておけば、時間が出来たときに即行動に移すことが出来ます。また、具体的なイメージ作りをすることによって、漠然とした「片付けないといけない」というストレスから開放され、「何をどこにどういう風に片付ける」という明確な行動指針が出来て、ストレスから開放されるとともに、自然と行動に結びつきやすいのです。
第三十八条 「収納以前の問題に原因有り」
普段のサービスで見積りに行くと、結構多くの方がまず「収納以前の問題なんですが・・・・・」と前置きして、片付けられない理由などをおっしゃることがあります。しかし、実はそれは、まず間違いなく、「収納以前の問題」ではなく、「収納に最も関係が深い問題」なのです。
何度も言うように、収納とは、モノを片付けることだけではありません。ましてや、収納グッズや奇抜なアイディアを使うことなんて思っていたら、大間違いです。本当の収納の目的は、住みやすくすることです。あなたの性格が原因で片付かないのなら、あなたの性格に合った収納の方法を知れば良い、あなたが忙しいなら忙しくても散らからない収納の方法をマスターすれば良い、それが重要なんです。
「収納以前の問題」ではなく、「収納の問題」と捉えることが出来れば、「収納の問題」=「片付かない原因」「あなたの理想の収納の反対の状態」ですから、片付けは本当に簡単なことだと気付くことが出来るはずです。
第三十九条 「エリアで分けて良い収納」
収納の基本は「分ける」ことですが、要・不要別で分ける、使用頻度別に分けるだけでなく、部屋全体や家全体で見る場合には、エリア(場所)ごとに分けて考える必要があります。
キッチン、ダイニング、リビング、寝室、書斎・・・など部屋の目的に応じて分けることはもちろん、自分の生活動線に合わせた配置を考える必要があるということです。簡単な例で言うと、ミニコンポがある場所から手が届く範囲にCDなどを置く、といった感じです。
こういった例えなら分かりやすいですが、実際にはもっと複雑な場合があります。例えば、ミニコンポで音楽を聴くのはリビングだけど枚数が多くて全部はリビングには置けない、といった場合。当然、リビング以外の場所に置くことになるのですが、こうなると選択肢は様々ですから、悩んでしまうかもしれませんね。
エリアで分ける収納は、イメージトレーニングが重要になってきます。
第四十条 「収納のプロを知るべし」
収納のプロ、収納の達人、収納アドバイザー、アメニティアドバイザー・・・呼び方は色々ですが、収納のプロに必要な要素は、以下の5つだと収納マンは思っています。
- コンサルティング能力
- 空間把握能力
- 商品知識
- 日曜大工程度の技術
- 愛
まず、コンサルティング能力というのは、人の話をしっかり聞くこと。その上で、片付かない原因を突き止める力です。空間把握能力というのは、立体的なレイアウトをイメージする力。一般に女性が苦手とするところです。商品知識、日曜大工程度の技術はともかくとして、最後の「愛」というのは、仕事に賭ける情熱や、お客様を思いやる気持ちのことです。
つまり、収納のプロに大切なのは、相手を思いやりながらじっくり相談に乗ること。決して知識や技術が一番大事なわけではありません。だから、収納は誰でも出来る。家族に対しても、自分自身に対しても、相手や自分にもっと正直に向かい合うことが一番大切なのです。